cookie規制でマーケティングはどう変わる?前編 ー仕組みと今後の影響を解説ー

近年、Webマーケティングの世界に変革が起きています。2020年3月に個人情報保護法の改正案が閣議決定されたことで、より広く知られることとなったcookie規制。前編では、cookieとは何なのか、その仕組みや規制の背景、cookie規制でWebマーケティング業界にどのような影響があるのかを解説します。

目次

cookieとは?

webの世界観イメージ

サイト内におけるユーザーの行動を追跡し、分析することを「トラッキング」といい、企業はユーザーがどの広告、どのページから訪問し、登録や購入に至ったのかをトラッキングしてマーケティングに活用します。

cookieとは、トラッキングをする際に利用されるものの一つで、Webサイト訪問者の情報を一時的にブラウザ上に保存するための仕組みです。cookieは企業側、ユーザー側でそれぞれ活用の目的が異なります。普段私たちが恩恵を受けているcookieの事例を紹介します。

事例①:Web上で個人情報を登録する際に、電話番号やメールアドレスを入力しようとすると、以前入力した内容が候補として出てくるのは、cookieによってブラウザ上に個人情報が保存されているためです。

事例②:ECサイトで買い物をしておりカートに商品を入れたが、その後サイトを離脱したとしましょう。再度、商品購入のためにサイトを訪問した際、カートに商品が残っているのはcookieによる情報の保存が働いているからです。

これらの事例をご経験の方も多いのではないでしょうか。企業側はこのcookieによって追跡できる情報をもとに、広告を配信したり解析を行っているのです。

cookieの種類と仕組み

cookieには1st party cookie」「2nd party cookie」「3rd party cookieの3種類があります。「2nd party cookie」は今回話題に挙がりませんので説明は割愛します。

1st party cookieと3rd party cookieの違いはcookieの発行元にあります。

仮にここで取り上げるサイトを「A社」が運営する「サイトA」、広告配信会社を「B社」としましょう。

1st party cookie

1st party cookieは、ユーザーが訪問しているサイトAのドメイン(=住所)から発行されているcookieで、A社がサイトA上でユーザーの同意承諾を得て直接取得しています。

それぞれのサイトが独自にcookieを発行しているため、A社は自社で取得したcookieデータしか取得できません。つまり、複数のWebサイトの横断はできないということです。

3rd party cookie

3rd party cookieは、ユーザーが訪問しているサイトのドメイン以外から発行されているcookieです。

ユーザーが訪問したサイトAにバナー広告が埋め込まれている場合、広告配信元であるB社から発行されているcookieが3rd party cookieです。ユーザーはサイトAを訪問しただけの認識ですが、A社と広告配信元であるB社からもデータを取得されているわけです。

3rd party cookieは、複数のWebサイトを横断できるため、B社はユーザーが訪れた複数のサイトから行動履歴を収集し、ユーザー属性を推計することができます。

cookie規制とその背景

GDPRのイメージ

前述した通り、cookieにより企業はユーザーのデータを取得し、マーケティング施策の分析や実行ができていました。

しかし、cookieデータの取得は個人情報を取得する行為であるため、プライバシーや個人情報保護の観点から全世界的に規制され始めています。

2017年9月にAppleが世界に先駆けて3rd party cookieの利用制限を開始したのを皮切りに、GoogleやMicrosoft、EUやカリフォルニア州でも規制が開始されました。2020年3月には、日本でも個人情報保護法の改正案が閣議決定され、規制や条件が厳しくなりました。

特に3rd party cookieは、ユーザーの知らぬ間にデータを取得されているため、規制が厳しく、2023年後半までには全面禁止になる見通しです。

cookie規制によるマーケティングへの影響

cookieが規制されることで、現在行っているマーケティング施策は大打撃を受けることになります。

広告の接触回数をサイト横断的に把握するフリークエンシー、自社サイト訪問前の広告接触や経路を分析するアトリビューション分析、一度サイトを訪問したユーザーを追跡し、再度広告を配信するリターゲティング広告、これら全ての施策がcookielessによってできなくなってしまいます。

特に、3rd party cookieによるデータ取得を主軸とするマーケティング企業が、現在最も大きな影響を受けています。そのような企業は、cookieによるトラッキングの代替策として様々な技術を用いてユーザーの追跡を試みています。

まとめ

Web上でのトラッキング技術としてcookieが幅広く活用されてきたこと、そのcookieが個人情報保護の観点から規制を受けており、Webマーケティング業界が大変革を余儀なくされています。

前編では、cookieの基本知識や仕組みから、cookie規制の背景と影響の全体像を紹介しました。後編では、Appleが導入するトラッキング防止機能であるITP(Intelligent Tracking Prevention)について、AppleやGoogleなど各社の対応の違いなど、cookie規制に関してより詳しい内容を紹介します。

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