【スプシで作る】CV予測シミュレーションの作り方

みなさん、CVにつながる予測シミュレーションを作成できていますか?

CV予測シミュレーションを作成することによって、実際に広告を出稿する前に予算の決定や成果を予測することができますが、シミュレーション通りにいかなかったり、コストに対する成果がなかなか得られなかったりと、うまくいかずに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、「効果的なCV予測シミュレーションの作り方がわからない」という方に向けて、CV予測シミュレーションの作成方法と、その際におさえておきたいポイントをご紹介いたします。

広告運用者に限らず、広告を出稿される方にも参考になる情報をお届けしたいと思いますので、ぜひ参考にしていただければ幸いです。

目次

CV予測シミュレーション作成時におさえておきたいポイント

コンバージョンとは?

そもそもCV(コンバージョン)とは何を意味する言葉なのでしょうか?

CVとは、Webサイトに来訪したユーザーが「成果につながるアクション」を起こした状態のことを言います。つまり、「CV数を上げる」ということは、「広告を見たユーザーによる、成果につながるアクション数を増やす」ことを指します。

コンバージョンまでの流れ

上記の図のように、ユーザーは企業や商品を「認知」してから、実際に「購入」のアクションを実行するまでに、「認知」「興味・関心」「理解」「検討・比較」「購入」「満足」「推薦」の層を順に辿っていきます。

「認知」の層にいるユーザーはまだ、“広告を見ただけ”にすぎません。そのため、すぐに「購入」につながる可能性はあまり多くないでしょう。

「興味・関心」「理解」の層はどうでしょうか?一見ポジティブな印象を受けるかもしれませんが、この段階ではまだ確実な動機がなく、「購入」にたどり着くためには、その”きっかけ”となるアプローチ作りが必要です。

「検討・比較」の層は、最もニーズに直結した段階であり、「購入」してくれる可能性は高そうです。ここの層により多く広告を配信することができれば、コンバージョンアップが見込めそうですよね。

ちなみに、ユーザーが「購入」に進んだ上で、サービス・商品の良さを「満足」することができれば、他者にその特性を「推薦」をしてくれる可能性も広がり、自社の信頼度をさらに獲得することにもつながっていきます。

このような仕組みを把握して、それぞれの層にあった効率的な広告配信ができれば、CV数を上げることに繋げられます。

ところで、コンバージョンを増加させるために広告に充てる費用を増やすことは有効でしょうか。

これは一見得策なように感じますが、実は広告費の増加はCV率アップに必ずしもつながるとは限らないのです。それは、各広告媒体が機械学習を利用して広告を配信するユーザーを選別しているためです。

せっかく広告シミュレーションを作成したのにもかかわらず、「シミュレーションの通りにならなかった」「CV数の増加につながらなかった」となってしまっては元も子もありませんよね。

広告配信する際に、ユーザーの選別はどのようにされているのでしょうか?

「購入」や「検討・比較」に当てはまるCVの見込めるユーザーには積極的に広告が配信され、「認知」や「興味・関心」に当てはまるユーザーには広告が抑えられるという動きが見られます。

そのため、予算を増やすと「認知」や「興味・関心」といったCVにつながりにくいユーザーへの広告配信が増えるため、これまでと同じCV数を獲得するのは難しくなると考えられます。

以上のポイントをおさえておくことで、より精度が高く効果的な広告シミュレーションが作成できるのではないかと考えられます。

CV予測シミュレーション作成手順

ここからは、スプレッドシートを使った広告シミュレーションの作成方法を

①グラフ機能を用いて作る方法
②関数のみで作る方法

の2パターンでご紹介していきたいと思います。

※関数など細かい数式がでてきますが、理解が難しくても問題ありません。作成手順を参考にしてください。

準備するもの

この記事では、前月の配信実績をもとに来月の「配信費用」を決定するという場面を想定して、過去30日分のレポートを使用します。

実際に行う場合には、過去の配信費用とCV数が分かる日別レポートをご用意ください。

グラフ機能を用いる場合も、関数のみで作成する場合でも、どちらも同じデータを使ってシミュレーションを作成していきます。

①スプレッドシートのグラフ機能を用いたCV予測シミュレーション作成方法

まず、次に示す手順に沿って、過去の配信実績をもとにグラフを作成し近似式を表示させます。

①「配信費用」と「コンバージョン」の列を選択
②挿入の項目内にある「グラフ」を選択し、さらに「散布図」を選択
③「カスタマイズ」、「系列」、「トレンドライン」、「対数」、「方程式を表示」の順に選択し、近似式を表示

上記のグラフに記載されているように、“y=-126+14.9ln(x)”という近似式が得られました。

縦軸(y)=CV(コンバージョン)
横軸(x)=配信費用

を表しているので、“(CV)=-126+14.9ln(配信費用)”と当てはめることができます。

では、早速得られた数式“(CV)=-126+14.9ln(配信費用)”を元にCVを予測していきます。

今回は、日別の配信費用とCVを元に算出しているため、得られるのは同じく日別の配信費用とCVです。

月別の配信費用とCVを求めたい場合には、ここで得られた日別の数値に月別の日数を掛けることで算出することができます。

例えば、毎日30,000円を目安に1ヵ月間(30日)配信したいという場合には、

配信費用:30,000円×30日=900,000円
CVの予測値:27.6×30日=828

と求めることができます。

②関数のみでシミュレーションを作成する方法

①では、スプレッドシートのグラフ機能を使ったシミュレーション作成方法をご紹介しました。

この方法ではグラフを作成し、近似式を求め、得られた数式を入力するという手順を踏まなければならないため、少し手間がかかるということにお気付きかと思います。

そこで、グラフや近似式を作成することなく、関数だけで完結できる方法をご紹介したいと思います。

①では“y=b+a×ln(x)”という式における係数aと係数bを、グラフと近似式を作成することで求めました。②では、それぞれの係数を関数のみで求めていきます。

まずは①と同様に日別の「配信費用」、「コンバージョン」の列を表示させますが、ここからの手順が異なります。

②では、さらに「=ln(配信費用)」という列を追加します。

そして、見慣れない関数だと思いますが、「slope」と「intercept」という関数を使って係数aと係数bを求めていきます。

式に当てはめると、以下のようになります。

“a=slope(CV,ln(配信費用)”
“b=intercept(CV,ln(配信費用)”

このとき、「コンバージョン」、「ln(配信費用)」のどちらも、シミュレーション作成に用いたい期間を全て選択することができます。

今回は、2022/05/01~2022/05/31の期間のデータを用いてシミュレーション作成を行う場合を想定するため、「コンバージョン」は“D3:D33″、「ln(配信費用)」は“C3:C33″と表示されます。

このように、「slope」と「intercept」を使うことで、グラフや近似式を作成する手間を省いて係数aと係数bを求めることができます。

このあとは、①と同様に“(CV)=-126+14.9ln(配信費用)”という数式を元にCVを予測していきます。
このとき、係数aと係数bを参照することによって、半自動的にシミュレーション作成ができるようになります。

とはいえ、①と②のどちらの方法がやりやすいかは、人によって異なると思います。
どちらでも、自分がやりやすいと思う方を選んでシミュレーションを作成してみてください。

CV予測シミュレーション作成する際の注意点

ここまで、シミュレーション作成の手順を説明してきました。しかし、この方法はいつでもどんなときでも万能というわけではありません。この手順で正確な予測ができない場合もあるのです。そこで、今回ご紹介した方法に適していない、もしくは注意が必要な場合について解説していきたいと思います。

月間のCV数が10件未満の場合

データは予測の精度に直結する非常に重要な要素です。多くの場合、データが多ければ多いほど予測の信頼性が高まります。

しかし、月間のCV数が少ない場合、予測に必要なデータが十分に得られていないことから、シミュレーションが正確に作成できない可能性があります。

このような場合には、参考にするデータの期間を2ヵ月や3ヵ月に広げるなどの工夫をするとシミュレーションの精度が上がることにつながります。

クリック数の増加が見込めない場合

クリック数の増加が見込めない場合というのはどんな時でしょうか?

例えば、インプレッションシェア率(広告が表示される可能性のあった機会の合計回数のうち、実際に広告が表示された回数の割合のこと)が既に高い場合などがこれに当てはまります。

特に指名検索広告(商品名などを含むキーワード検索)の場合、インプレッションシェア率が95%を超えているということも少なくありません。

この場合、予算を増やして入札強化を行ってもインプレッションやクリックが増えることはあまりありません。結果としてCVも増えにくくなってしまいます。

トレンドの影響を強く受ける場合

この記事でご紹介した方法は、過去実績を元に未来の数値を予測するものでした。そのため新商品の発売やセールで一時的にCVが増加した場合、その数値をもとにシミュレーションを作成してしまうと大きく外れた予測になってしまう可能性があります。

このような場合には、トレンドの影響を受けた期間の数値を除外することによって問題なくシミュレーションを作成することができます。

まとめ

今回はCV予測シミュレーションの作成方法についてご紹介してきました。

CV予測シミュレーションを作成することで、どのくらいの予算でどのくらいの成果を得ることができるかを予測することができるようになります。

ここでご紹介してきた方法や注意点は、誰でも簡単に取り入れることができます。

ぜひ、今後のCV予測シミュレーション作成の際に活用してみてください。

この記事を通じて、より精度の高いCV予測シミュレーション作成が可能になることを願っています。

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この記事を書いた人

長澤 ニキータのアバター 長澤 ニキータ デジタルマーケティング事業本部

デジタルマーケティング事業本部 /マーケティングプランナー

2021年4月にSORAMICHI新卒1号として入社。
金融業界のWeb広告運用をメインに担当。
自身も株式投資を行っており、金融の中でも証券業界のマーケティングに長けている。

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